大阪湾展の目玉展示(その10)「ウミウシ50種の写真」

これは大阪湾にいるウミウシ50種の写真を、12台のフォトフレームで見せるという展示です。フォトフレームごとに分類群をある程度分けて、1台につき3〜6種程度の画像(種名入り)を入れて、数秒で切り替わるようにしてあります。写真は手持ちのが半分、人から借りたのが半分です。内覧会でとある方から「泥臭いのがウリの大阪やのに、こんなミー○イみたいな展示作って〜」と褒められてるのかけなされてるのかよくわからないコメントを頂きましたが、まあたまにはこういう展示も作ってみたくなるんですよ。真っ白けな液浸標本並べてモノに語らせるのが博物館じゃ、と虚勢を張るのもいいんですが。


で、作ってみて気づいたことがいくつかあります。最も重要なのは、フォトフレームは水平に置いて使うようには作られていない、ということです。フォトフレームの液晶は正面か、正面より少し上側から見るのに最適な視野角を持っていて、フォトフレームを下から見上げるような角度では画像がほとんど見えなくなります(これはどこのメーカーでもだいたい同じ)。タブレットコンピュータの液晶とはスペックが違うわけです。なので、手前から見ることを前提に、フォトフレームはすべて上下さかさまに置くことにしました(仕込む画像はあらかじめ180度回転させる)。当初は四方から見える展示ケースに入れるつもりだったのですが、手前1方向から見るケースを使っています。


今回使っているのは大手メーカーでない、低価格のフォトフレーム(KEIAN KDPF10022B-BK)です。大きさは10インチ(1024×600pixel)、1台約7000円ですが、画質は決して悪くありません。ただ、12台並べてみると、そのうち3台は色の再現性がとてもいいのに、他の9台はなんとなく画像が青っぽいのです。おそらく1台だけで見たら気づかないレベルなのですが、並べると差がわかります。たぶん、液晶の製造ロットが違うのだと思います。大手メーカーだとこういうことはないのかもしれません(試してみないとわかりませんが)。他にも画像の切り替わりのディゾルブがちょっと荒いなあというのもあります。なお、現在は24時間通電でタイマーオン・オフの設定にしていますが問題はなく、元電源の入り切りでも大丈夫そうです(博物館ではこれ重要)。


と、当初イメージしてた憧れの(ウソ)ミー○イのような展示には及ばない部分はあるものの、大人も子どももじっくりのぞき込む展示にはなっていて、まあいいんでないか、というところです。



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大阪市立自然史博物館 特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2013osakawan/index.html

大阪湾展の目玉展示(その9)「マッコウクジラが食べていたもの」

というわけで、7月20日に特別展も無事にオープンしました。準備をお手伝い頂いた皆様、どうもありがとうございました。


さて、今回の特別展で展示しているマッコウクジラの全身骨格標本は、2010年5月に堺泉北港に死亡漂着したものです。博物館でもらい受けることになり、現地で解体してあらかた肉と皮を取り除き、持って帰ってホネにしたものです。その解体時に胃内容物も回収しました。発見されてから解体するまですったもんだがあって時間がかかったため、胃内容のほとんどは消化されており、残っていたのは頭足類(イカ・タコ)の顎板(歯)だけでした(顎板は固いため、糞の中でも残るようです)。それでも顎板の上顎と下顎を合わせて約3000個を回収しました。


その顎板をちまちまと同定していて、3年間でようやく7〜8割方終わり、今のところ13種群のイカ・タコが判明しました。それらを今回展示しています。顎板だけ並べられてもどこが違うねんという感じですが、別格なのは1コだけ見つかったダイオウイカの顎板です(写真右上)。さすがに他のと比べると大きさが全然違います。東京の方で今年の夏にダイオウイカの特別展をやってるらしいですが、東京まで行かんでも大阪で見れまっせ、というのが今回の特別展の一つの売りです(歯だけですが)。


ちなみに、これらのイカ・タコはすべて、今までに大阪湾内で生息が確認されたことはありません。おそらくこの子が最後に食事をしたのは湾外の黒潮流域の中層か深層でしょう。そういう点では、大阪湾と直接の関係はないのですが。



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大阪市立自然史博物館 特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2013osakawan/index.html

大阪湾展の目玉展示(その8)「大阪湾沿岸の絵葉書」

これも昔の大阪湾の資料の一つですが、大阪湾沿岸の明治〜昭和初期の絵葉書を展示します。これは(業界なら知っている人は多いですが)風間さんという方のコレクションです。風間さんは知る人ぞ知る(?)絵葉書コレクターです。お手持ちの中から大阪湾沿岸の絵葉書約60点、南海や阪神、阪和電鉄のパンフレット(沿線観光や釣り案内)など約18点を厳選して頂きました。当時を知るご年配の方なら懐かしいのはもちろんですが、何かしら大阪湾沿岸をフィールドにしている人が見ても、これはすごく面白い資料です。泉南の護岸されていない怪しげで泥っぽい磯浜と松林の絵葉書とか、とても萌えます。電鉄会社のパンフレットは鉄な人にもおすすめです。


私も最近、景観資料として絵葉書に興味を持っていて、古本屋があれば覗くようにしているのですが、これだけ特定地域を網羅した絵葉書コレクションは短期間では揃いません。有名な観光地(大阪湾沿岸で言うと大阪築港や浜寺など)の絵葉書は多いのですが、辺鄙な場所の絵葉書はもともと発行数が少ないためです。そういう点でも、マニアにはたまらない展示かと思います。



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大阪市立自然史博物館 特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2013osakawan/index.html

大阪湾展の目玉展示(その7)「岡村貝類コレクション」

岡村親一郎さんは1950年代から主に大阪湾全域で貝の標本収集と研究をされてきた方です。岡村さんのコレクションのうち、大阪湾産のものをまとめて2009年にご寄贈頂きました。特に貴重なのは沖合底生の貝類です。岡村さんは泉佐野在住で、親しい地元の漁師さんの石桁網にかかる漁屑をもらい受けたり、時には操業に同船したりして集められたものです。大阪湾の沖合で生息の記録がある貝類は少なくとも270種に及ぶというデータは、岡村さんの標本があってこそです。沖合の底層はなかなか近寄り難い環境ですが、岡村さんのコレクションを見るとその半世紀の変化がよくわかります。


泉州でも漁師さんが減っていて、これからの50年、同じレベルのコレクションを私たちが築けるかというと、甚だ心許ないように思います。そういう視点からもこの機会に紹介したい標本です。



(写真は展示設営作業中の岡村コレクション)


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大阪市立自然史博物館 特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2013osakawan/index.html

大阪湾展の目玉展示(その6)「兵庫県漁具図解」

古い時代の大阪湾に関連する資料もいくつか展示しますが、そのうちの目玉の一つが「兵庫県漁具図解」です。これは関西学院大学図書館の所蔵で、今日は借用のための梱包と輸送の立ち合いでした。


兵庫県漁具図解」は、1897(明治30)年に神戸の和楽園で開催された第2回水産博覧会に出展するために、大日本水産会兵庫支会が編集・刊行した資料です。兵庫県下の地域ごとの漁具・漁法について、それらを彩色で図解するとともに、魚種や漁期、漁具新調にかかる経費、使用法などを調査・記録した貴重な資料です。絵がとても精緻で、漁具の構造図はかなり忠実・正確ではないかと思われます。漁獲物を網主と漁夫との間でどのような割合で分けるかなども記録されていて、歴史学民俗学としても一級の資料価値があります。



なお、この図解については、全頁電子化されてインターネットで公開されています。


兵庫県漁具図解(関西学院大学
http://library.kwansei.ac.jp/e-lib/gyogu/gyogu.html


今回の特別展では、大阪湾沿岸の各地域(尼崎、神戸、明石、淡路島東岸)が含まれる巻をお借りして展示します。あまり展示スペースに余裕がないのと、資料保護のため一度にたくさんお見せできないのですが、ぜひこの機会に実物をご覧下さい。


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大阪市立自然史博物館 特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2013osakawan/index.html

大阪湾展の目玉展示(その5)「魚屋線香」

そろそろ目玉展示もネタ切れかと思われそうですが、そうじゃないんです。まだモノがあんまり並んでないんで、写真が撮れないんです。。。


というわけで、今日は鶴橋鮮魚市場に行ってきました。「大阪湾の貝屋さん」(id:soishida:20130511)を作る関係で、市場の写真を撮るのと、ハンズオン用の貝を買いに行きました。写真はこんな感じで。



で、もう一つの目的が、貝屋さんにディスプレイとして置く「魚屋線香」を手に入れるためです。魚屋線香というのは(これが正式名称なのかどうかよくわかりませんが、線香屋さんはそう呼んでいた)、魚屋さんでハエよけに使っている、ぶっとい線香です。子どもの頃はよく見かけましたが、最近はあまり見ません。でも、鶴橋の市場に行くと使ってるお店がまだあります。



さて、魚の干物を売ってるおばちゃんに聞くと、「そこの路地をしゅっと行って左曲がったとこにある線香屋さんで売ってる」と言われ、よくわからないままに路地をしゅっと抜けたら左に線香屋さんが。聞いてみると「あー、あれな、作ってる人やめはったから、もうおませんねん」と言われる。うへー、と思って干物屋のおばちゃんに言うと「そんなはずない。そこの線香屋やで」と言われ、今度はおばちゃんに店まで連れて行ってもらいました。路地をしゅっと行くと、そこにあったのは見事に違う線香屋さんでした。鶴橋の市場は難しい。そして、確かに売ってました。鶴橋で売ってるのはもうここだけだそうです。「にいちゃん、箱入りやねん、かまへんか」と言われ、いいですよ、と言って出してもらったら、およそ75本入りでした。1450円。作ってるのは堺市の業者さんだそうです。線香の台も一緒に買いました。線香の台は600円(ぐらい)。



帰りにおばちゃんの店でお礼に干物を買おうとしたら、「そんなん気い使こたらあかん」と言われしまい、じゃあ代わりになんですが、ということで線香を5本ほど差し上げてきました。


というわけで、こういう具合になります。線香の台がさらぴんであまりカッコよくないですね。おばちゃんのと交換してもらったらよかったなあ。



あとは、残り70本の線香をどうするかですね。月参りの時に仏壇に差したらどうかな。うちのおじゅっさん、歳近いけど、さすがに怒りはるでしょうな。


魚屋線香がほしい方は(そんな人はあまりいないと思いますが)、こちらでどうぞ。
■線香の専門店ふじや
http://www.turuhasi-ichiba.com/cgi-bin/shop.cgi?shopid=s582216


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大阪市立自然史博物館 特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2013osakawan/index.html

大阪湾展の目玉展示(その4-2)「船場汁(のレプリカ)」

大阪湾の魚介類を使った郷土料理のレプリカ作りで、一つだけ「船場汁」がまだでした。やっぱり実際に料理されたものがいるんですが、さすがに今日日、船場商家の奥方は見つかりません。ここはひとつ堪忍して頂くということで(誰に対して堪忍してほしいのかようわかりませんが)、「聞き書 大阪の食事(農文協)」のレシピを参考に自分で作ることにしました(以下、米朝の「味の招待席」風に読むと雰囲気がでます)。


まず、大根を短冊に切り、昆布だしで煮ます。



その間にサバを切ります。五分ほどの厚み、というのでこんなもんでしょう。大阪湾産は手に入らなかったので、房総沖産です。せめて瀬戸内海産にしたかったですが、やむを得ませんな。



大根を火から下ろして、別の鍋でサバを湯通しします。あく抜きですな。この一手間をサボると、おついがにごってしまいますな。



大根がやわらかくなったら、サバを入れて静かに煮ます。アクをとりながら、塩と薄口醤油で味付け。



そうして、味が整ったらできあがり。



文献の写真と、まあだいたい違わないでしょう。味はシンプルでおいしゅうございました。サンプル製作会社の営業さん、ラップをかけて持って帰りはりました。サンプルは内覧会前日に納品の予定。


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大阪市立自然史博物館 特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2013osakawan/index.html